漫画

「葬送のフリーレン 1~3巻」感想

葬送のフリーレン 1~3巻

基本情報

原作:山田 鐘人
作画:アベツカサ

1巻
発行日:2020/8/23
連載誌:週刊少年サンデー
掲載内容:週刊少年サンデー2020年第22・23合併号~第29号

2巻
発行日:2020/10/21
連載誌:週刊少年サンデー
掲載内容:週刊少年サンデー2020年第30号~第41号

雑感【ネタバレあり】

マンガ大賞などを受賞してから知って、お試しでレンタルで読みたかったけどなかなか借りられなくて最近やっと読めた作品。

ざっくり書くと勇者一行が魔王討伐を終えたところから物語は始まる。
一つの物語の終わりが今作の始まりだ。

勇者一行は以下の構成

勇者ヒンメル(人間)
戦士アイゼン(ドワーフ)
僧侶ハイター(人間)
魔法使いフリーレン(エルフ)

タイトル通りこの中の魔法使いフリーレンが本作の主人公だ。
本当にタイトル通りなのだけど、人間やドワーフよりも遙かに長い寿命を持つエルフのフリーレンが、過去に会った人々と再会して魔法でお手伝いしたり、時には寿命を看取る物語。

バトルがメインの作品が多いファンタジーものでは珍しく(最近は特に異世界転生ものなんか、バトルがメインで無いファンタジーも多いみたいだが)、○○を倒すとかそうった明確な目的は無い。
フリーレン自身も魔王を倒した後の旅では特に目的は無いと言っているが、強いて挙げるならフリーレンがこの世界に生きる人々交流して知るのが目的なのだろう。

本書を読んでいて特に上手いなと思うのが時間の表現・扱い方だ。

最初に書いた通りフリーレンは長い寿命を持つエルフであるため、人間とは時間の感じ方が全く違う。
物語は基本はフリーレンに合わせて進むので、特に序盤は数十年が一気に進んだりする。
そういった時間の経過は主に人物の老いで表現していたりするが、人物の描写が絶妙でよく時間の経過というものを表現できており読んでいて違和感を覚えない。

2話以降はハイターの忘れ形見のフェルンと行動を共にするようになり、時間の進み方がだいぶ人間感覚に近くなる。
とはいえ数ヶ月単位で進むことも珍しく無いが、フェルンの髪の伸び具合や、顔立ちの成長でよく表現できている。

ファンタジーの世界観にどっぷり浸かれるので、ファンタジー作品が好きな人には本当にオススメの作品だ。
自分も1巻を読んだあとに「これは面白いわ」って3回くらいつぶやいた。

気に入ったセリフ

たった10年一緒に旅しただけだし…

"葬送のフリーレン 1巻33ページより"

まずは1巻からこのセリフ。
ヒンメルが(恐らく)天寿を全うした際の葬儀で、涙一つ流さない無表情のフリーレンに対して民衆が「薄情だ」と言った流れでのセリフ。
この物語の肝となるセリフ、且つこのセリフに続く言葉がこの後のフリーレンの行動を決めた重要なセリフ。


おとぎ話じゃない。
僕たちは確かに実在したんだ。

"葬送のフリーレン 2巻117ページより"

2巻からは回想の中でヒンメルが像を作って貰う理由をフリーレンに語ったこのセリフ。
2巻からはフェルンと、更にアイゼンの弟子のシュタルクも仲間になり、コミカルなシーンや面白いセリフも増えてきた。
そういったセリフを選ぶのも良かったが、やはりこのセリフは外せなかった。

このセリフの一つ前の回想で、フリーレンの師匠のフランメの存在自体がおとぎ話のようだと言われ、師匠の顔を覚えているのはもう自分くらいと言ったフリーレン。
ヒンメルの彼女に対する心遣いと、永い刻を生きるフリーレンを案じてのセリフなのだろう。


今は天国にいるよ。

"葬送のフリーレン 3巻135ページより"

同族のクラフトとの会話でフリーレンが発した一言。
その前の会話では女神(≒天国も?)を信じていないと言ったフリーレンだが、ハイターとの回想を経て思うところがあったらしい。

それにしてもなかなか面白いキャラだったクラフトだけど、見た目は成人だったことを考えるとフリーレンよりも千年単位で長生きしているのかも…?

まとめ

話題になってからだいぶ時間が経ってしまったが、読むことが出来て本当に良かった作品だ。
最初はもっと速いペースで人が入れ替わるのかと思ってたけど、想像していたよりもゆっくりだった。
安心した反面ちょっと残念だったり?

とはいえ面白いのは確かで、フリーレンを始めとしたキャラが良い味を出している。
故人もよく回想で出てくるし、キャラを大事にしている作品というのが伝わってくる。

おためしで3巻まで借りたのだが、この作品については今後は購入して楽しみたいと思う。

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