11月 042010
 
この記事の所要時間: 430

まず読後感から言ってしまうと、既存の化物語シリーズから比べるとそれほど面白くは無かった。
なんというか非常に淡白で、化物語の本分であるところの余計な寄り道や雑談などが一切無い感じ。
既存作から比べて面白く感じなかったのは、恐らくそういった本分に欠けていたからだと思う。


だからといって本作から西尾維新の腕が落ちたと言いたい訳ではない。
本作はある意味最初から読者に詰まらなく感じさせる宿命を持って生まれてきた作品なのではないかと思う。


その要因は、既存作品と比較して初めて語り部が阿良々木暦では無くなった事であろう。
では誰が語り部なのか、この程度はネタバレにもならないと思うので書いてしまうが、本作の語り部は羽川翼である。


語り部が羽川翼に変わったことと、作品自体が詰まらなく感じた因果関係については幾つかの理由が考えられる。
そのうちの半分は本作で著される羽川翼自身の本質に拠るものだと思うのでここには記さないが、
もう半分の理由として考えられる既存作品との比較について軽く書いてみようと思う。


面白さとはあくまで主観的なものであるので異論は多々あるだろうが、自分の考える化物語シリーズの面白さとは、
阿良々木暦(男子高校生)と様々な女子(小学生【霊】から高校生まで)との何気ない会話遊び、雑談にあると思う。
所謂最近の萌え系ラノベと本質的な面白さは同じだと思う、というか化物語シリーズも萌え系ラノベに分類されるから当たり前と言えば当たり前ではある。


それに比べて本作である、語り部が羽川翼(女子高校生)に変わったことにより、上記の面白さがほとんど盛り込まれていなかったように感じる。
作品自体も既存作品と比べ理路整然としていて、非常にアッサリ読めた感がある。
化物語シリーズ自体が元来そういった風もあるが、その中でも異端である。


加えて全く個人的なことであるが、既存作品に比べて本作は辞書を引く回数が多かったような気がする。
(本に限らず文章を読んでいてわからなかった言葉、字面で類推できてもハッキリした意味のわからない言葉はなるべく辞書を引くようにしている。)
恥を晒すようであまり気は進まないが、本作を読んでいて辞書を引いた言葉は以下の通りだ。


・侃々諤々
・博引旁証
・草草不一
・遺漏
・忖度(既存作品にも出てきた気がする)


既存作品なら辞書を引いたとしても2〜3と言ったところだが、そう考えるとやはり本作は既存作品とは一線を画す存在なのだと思う。
つまり何が言いたいかというと、この物語は徹頭徹尾、羽川翼が著した物語として書かれているということだ。
先程述べたことに戻ってしまうが、だから男性向け萌えラノベの面白さが無くても仕方ない。
加えて最初述べたことに戻ってしまうが、だから本作は語り部の選択という根本からして読者に詰まらなく感じさせる宿命を持って生まれてきた作品なのだと思う。


ただ語り部は違えど、本作は歴とした化物語シリーズの作品である。
テンプレ萌えラノベ的な面白さは薄くとも、シリーズのファンなら十分に読む価値はある。
むしろ語り部が違うからこその、既存作品では触れられなかった各キャラの思考・背景などに触れることができている、価値ある作品だと思う。
面白くない本は読む価値が無い、というものでも無いのだ。


ただ個人的に少々不安なのが本作のあとがきと、今後の刊行予定だ。
まずあとがきでは作者本人が前作である猫物語[黒]までがファーストシーズン、本作である猫物語[白]からがセカンドシーズンと位置づけている。
ファーストシーズンまではこれまで『あった』物語、セカンドシーズンからは作者も知りえぬ未来の物語ということらしい。
また「キャラクターが勝手に動くとはこういうことなのかなー」とも書いていた。


勘繰り過ぎのような気もするが、前者は本作以降かなり作品が方向転換というかイメージの変わる可能性を示唆し、
後者と含めるとセカンドシーズンは本作のような形態を取るのではないかと類推させる。


で今後の刊行予定だが、以下のとおりだ。
・まよいキョンシー
・するがデビル
・なでこメドゥーサ
・しのぶタイム
・ひたぎエンド


今まで通り各ヒロインがメインとなる作品となることは予想できる。
が今回のつばさタイガーをそれらの先駆けとして捉えた場合、今後の作品の語り部も本作に倣い各ヒロインが行うのではないかと考えられる。


羽川翼は西尾維新書き下ろしのアニメ版のBD・DVDのオマケのキャラコメでも別格扱いだったので、本作のみが特別扱いという可能性も考えられる。
だがだからと言って各ヒロインが語り部をやるという可能性を否定しきれるものでもない。


最初に述べた本作が詰まらなく感じた理由のうちの半分は、羽川翼というキャラによるものでもあるので、仮に同様の体裁を取ったとしても同じになるとは考えにくい。
もしかしたら語り部:阿良々木暦、の時よりも面白い話しが出来るのかもしれない。
だが保守的とか言われそうだが、やっぱり語り部:阿良々木暦の化物語シリーズが読みたいというのは読者のわがままだろうか?

  One Response to “猫物語[白]感想と今後の予想”

  1. Blog更新!:猫物語[白]感想と今後の予想 – http://bit.ly/9o1420

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