技術系 書籍

オライリーの『Head First ネットワーク』レビュー

最近IT関連の技術書籍の出版で有名なオライリーが、色々なジャンル向けに初心者向けのHead Firstシリーズというのを出しているのを知った。
書店で幾つか見てみたところ、中でもネットワークが基礎を踏まえつつしっかりした内容で面白そうだったので試しに買ってみた。

本書の冒頭にもだいたい同じようなことが書いてあるが、本書は必要に応じた部分を随時問題解決形式で学んでいくものなのである意味で無駄が無い。
ネットワークの世界ではお馴染みのOSI基本参照モデルなんか欠片も出てこないが、それでも本書を最後まで読めばネットワークのだいたいの仕組みが理解できると思う。
なのでもちろんある程度の事前知識があればスムーズに読み解くことができるが、ネットワークに関してよく分かってないという人でも時間をかければ十分体得できる内容だと思う。

ということでかなり間口の広い本なわけだが、例えばネットワークに対してある程度の知識は持っていると自負している人でも、以下の用語が何を表しているか即答できないようならきっと本書を読むことで得られるものがあると思う。
ARP、BIND、dig、OSPF、EIGRP、FQDN、IDS、MIB、MPE、NAT

目次からの抜粋で本書は基本的に以下のような流れとなっている。

本書はまずネットワークケーブル(CAT-5や同軸ケーブルや光ファイバー)の物理的修理の手法から始まる。
CAT-5なんかはちょっと値段が張るがその手のショップに行けばRJ-45コネクタを自分で付け替えて修理することはできる。
が光ケーブルなんかはなかなかそうはいかない、まぁ素人で対処することは無いと思うがこういう普通では得られない知識も得られるのが本書の魅力でもある。

物理的な接続が確保できたら次はネットワークレイアウトの設計。
レイアウト設計まで解説してくれる書籍はあまり無いと思うが、これがきちんとしていないと後々物理的な障害の原因にもなるので重要な部分だ。

レイアウト設計が終わったら、次はトラブルシューティングとそれらの検出に役立つ計器について。
こちらは手法を学ぶ上で役には立つが、実際に紹介される計器は素人向けではないのでその点ではあまり役に立たないかも。
むしろ検出の際に電圧や信号をどのように扱うかといったところに着目すると良い。

上記で信号について軽く触れたところで、ついにネットワークの重要部パケット解析の話しが出てくる。
実際ケーブル上をどういった形式でデータが流れているのかが解説されている。

次に触れられるのがネットワークデバイスについて。
ハブやスイッチ、ルータに関して。
当然それらがフレームをどう扱うかに関係するIPやMACアドレスについても出てくる。
またルータに関しては代表的なルーティングプロトコルについても解説がある。

ここからはホームページを置いたサーバなどを外部に公開する話し。
DNSについてと、DNSの詳細を調べる手法の紹介。

外部への公開も適切に出来たところで、今度は論理的なトラブルシューティングについて。
各種コマンドでのネットワークの調査と、トラブルに備えた日々のネットワーク監視方法についての紹介。

有線のネットワークについて一通り学んだところで、今度は無線ネットワークの構築について。
無線APの設置に適した場所や、設置後のDHCP設定などについて。

一通りのことを学び終えたら最後に学ぶのはネットワークセキュリティについて。
MACアドレス偽装やARPポイズニングなどにどのように対処するかについて学ぶ。

大まかにこんな流れで進んでいく。
書籍自体は500ページ近くと結構なボリュームがあるが、事前知識のある人なら1日100ページ位のペースでさらっと読めると思う。
事前知識の無い人でも本書はかなりわかりやすく書いてあるので、1日1章くらいのペースでじっくり読んでいけばきっと理解はできると思う。

というわけで結構オススメの書籍。
気になった方は是非どうぞ。
ちなみにHead Firstシリーズは他にも幾つか出てるんだけど、どうもプログラミング言語系は微妙みたい。
本書でも和訳関連の誤字が幾つか見られるんだけど、言語系ではわりと致命的な誤字がいくつかあるらしい…。
内容は悪くないらしいので、もしそちらに手を出す気のある人は購入する前に書店などで実際に物を見てみたほうがいいと思う…。

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